国家や貴族が思惑を張り巡らせる大陸は、多くの紛争の火種を抱えている。
ここでは大陸内の国家と、その情勢を紐解こう。

 
 

王都:ニース 国王:ファーロン

ブリューヌ王国は、君主たる国王のもと、多数の貴族による領土の統治が行われてきた。それぞれの領土については、税の徴収額の設定などいくつかの事項をのぞき、基本的に貴族による自治が認められている。立地的には、東をジスタート王国、ムオジネル王国、西をザクスタン王国、アスヴァール王国と隣接するため、歴史的に多くの紛争を経験してきた。だが、現在はファーロン王のもと、安定した国家運営を実現している。その一方で、大貴族であるテナルディエ公爵とガヌロン公爵の台頭を招き、内乱の危険性を秘めている。文化的には隣接するジスタート王国と共通する部分もあり、両国は同一の神々を信仰している。


《ブリューヌ王国勢力図》

対立する二大勢力であるテナルディエ公爵とガヌロン公爵が国内の勢力の半数以上を占め、残り1/3程度の勢力が王都や各地を守る騎士団。ティグルら中立を守る勢力はごくわずかである。



ネメタクム

領主:フェリックス=アーロン=テナルディエ 中心都市:ランス

テナルディエ公爵が治める領地であり、ブリューヌ南部の一体を束ねる。広大な領土と多くの貴族を抱え、総動員できる兵は最大1万にも達するという。強大な勢力を背景に、王を無視した行動が目立ち始めている。



ルテティア

領主:マクシミリアン=ベンヌッサ=ガヌロン 中心都市:アルテシウム

ブリューヌ王国北部にあり、冷涼な気候で知られる。ルテティアは林檎の栽培が盛んに行われており、林檎酒でも有名である。テナルディエ公爵とは古くから険悪な関係にあり、日ごとに対立が増している。


アルサス

領主:ティグルヴルムド=ヴォルン 中心都市:セレスタ

王都から遠く離れた田舎町。主要な街道は1本も通っておらず、王都へ向かうには隣接している領地の街道を使うことになり、その上数日を要する。領地内の集落は、ティグルが屋敷を構える町セレスタのほか、村が4つというささやかなもの。領土は小さく、森や山といった多くの自然に囲まれている。その分税収は少ないが、領主ティグルはむしろそうした環境を好み、気にも留めていない。敵国ジスタートと隣接しているが、険しいヴォージュ山脈によって分かたれているため、その脅威にさらされることはない。



テリトアール

領主:ユーグ=オージェ 中心都市:ベルフォル

アルサスから南方にあるユーグ=オージェ子爵の領地。アルサスとは違い、領地のほとんどが草原で占められている。そのため牧畜や葡萄畑作りが盛んに行われている。


オード

領主:マスハス=ローダント

ブリューヌの北方にあり、ティグルの父であるウルスの親友にして、ウルス亡き後はティグルを後見人のような形で支えてきたマスハス伯爵が治める領地。アルサス同様、王都からは離れているため、中央から受ける影響は少ない。


ディナント平原

ブリューヌ王国とジスタート王国が、二十数年振りに激突した戦場。両国が戦うことになった発端はささいなもので、国境線となっている川が大雨で増水し、氾濫したことにある。被害を受けた住民同士の諍いから、やがてそれぞれの国への陳情に発展、双方の軍の出征に至った。ブリューヌ王国が率いる二万五千の軍勢に対し、ジスタート王国はライトメリット公国を治める七戦姫の一人、エレオノーラ・ヴィルターリア率いる五千と、戦はブリューヌ王国の圧倒的優勢にて進むかと思われた。


アニエス

ジスタート王国、ムオジネル王国の二大王国と接している土地であり、ブリューヌ王国が城塞を築いたが、積極的な開発は行われなかった。地形的には砂岩の崖や丘がそそり立ち、その間を荒涼とした風が吹き抜ける。土地の半分以上は水に乏しく、植物が育ちにくい上に大気も砂塵を含んで乾燥している不毛の土地である。


ナヴァール騎士団

ブリューヌ王国の西方の守りを託された騎士団。ザクスタン王国とアスヴァール王国の国境が隣接する要所に城塞を構える。かつては苦戦を強いられていたブリューヌ王国だったが、黒騎士ロランの活躍によって他国からの侵攻を防いでいる。


 
 

王都:シレジア 国王:ヴィクトール

ジスタート王国の建国は約300年前。当時は50の部族が争う混乱の時代だったが、黒竜の化身を名乗る男の登場によって、国王のもとに七つの公国をもつ国家となった。北に一年中雪の消えない高山があり、東には蒼海、西と南はブリューヌ王国とムオジネル王国という大国と接している。気候は冷涼で、他国よりも若干冬は長い。針葉樹の森が点在していることから、「雪と森の国」と呼ばれることも。主な農作物はジャガイモや林檎、中央部には魚が豊富な内海があり、そのほかに金、銀の鉱山も多数所有している。王都シレジアは100万の人々が暮らし、領内や他国の産物が集まる豊かな都市である。


《ジスタート王国勢力図》

王の下に七人の戦姫が治める公国が存在する。各公国は、自治や徴税、徴兵などのさまざまな特権をもつ。それぞれの国家は同列であり、戦姫より上位にある者はただジスタート国王のみ。



ライトメリッツ公国

統治者:エレオノーラ=ヴィルターリア

戦姫であるエレンが治める公国。城下町には活気があふれ、多くの旅人や商人らが行きかう。街路は大型の馬車が通れるほどの広さでありながら、石畳で舗装されるなど、エレンの統治者としての手腕がうかがえる。立地的には、山一つ隔ててティグルの領地であるブリューヌ王国のアルサスと隣接している。



オルミュッツ公国

統治者:リュドミラ=ルリエ

ジスタート王国の南西部に位置する公国の一つで、ミラが治める。ブリューヌ王国、ムオジネル王国と隣接し、三つの国の人間と文化が混在する。国の北側はライトメリッツ公国と隣接しており、同じジスタートの公国ではあるが代々対立している。



 
 

ブリューヌ王国、ジスタート王国の南方に位置する。奴隷制度を持つ国で、奴隷を獲得するためだけに戦争を仕掛けてくることも珍しくはない。一方で紙や絨毯は質の良いものが多く、紅茶など諸国にはない品もある。


大陸中央に位置し、東方をブリューヌ王国、西方をアスヴァール王国と隣接する国家。ブリューヌ王国と幾度となく紛争を繰り返してきた。ザクスタン王国の侵攻を幾度と無く阻むのは、ブリューヌ王国最強の騎士ロランが率いるナヴァール騎士団。


大陸西方の大国。大陸にもブリューヌ王国、ザクスタン王国と隣接する領土をもつほか、アスヴァール島も領土とする。